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聞こえないお母さまからのお手紙

インタビュー後、聞こえないお母さまからお手紙をいただきました。

短い文章ではありますが、母親としての深い思いが綴られています。まだ、今ほどには、社会に障害に対する理解が浸透していなかった頃のことです。
紹介させていただきます。

 

 

 

お母さまのお手紙

(インタビューを終えて)

 

 

私たち聞こえない夫婦は、いろいろな壁を越えて生きてきました。先輩や仲間とともに、夫婦ともども、社会が少しでも良くなるよう、頑張ってきました。

けれど、気づいたときには、子どもの方にそのしわ寄せがいってました。子どもが社会にでてから、ぶつかっている悩み苦しみを聞くたびに、子どもに申し訳なくて自分を責めた日々もありました。

子どもには言えませんが。

 

子どもは、ろうの私たちにとっては非常によくできた自慢できる子どもでした。でも、子ども自身の人生を考えると、私たちの育て方は間違いもあったのではと。

こんなことは、子どもには言えませんし、言ってはならないことだと思いますが。母親として生涯背負い続けるんだと思います。子どもは親を選べないですから、責任重大ですね。

 

いろいろお話させていただきましたが、社会が大きく変わっています。

なにもないところで生きてきた私たちの話が、今の恵まれた社会にいる、聞こえない若い人たちにどれだけ役立つのかは疑問ですが、少しでも役立つことがあるのでしたら、そのときは、またどうぞご遠慮なく。

 

最後に、言い訳みたいですが。

私の子育てに間違いはあったとしても、ろうの母親としてその時その時を、良かれと、子どもとともに精一杯一生懸命考えながら生きてきたということです。

そこに母親としての誇りはもっています。

 

長々と聞いていただいて、私も何か、心が軽くなりました。

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